痴漢事件3
- 2015年09月03日
- 刑事事件の事例
◆ 事件内容
痴漢事件の場合、電車の中で、酔った勢いなどで女性の胸や陰部を触ってしまい、被害者の女性から騒がれ、駅員に引き渡され、さらに警察官に引き渡されたうえで、捜査は続くものの、家族が迎えに行き釈放される場合や、そのまま逮捕される場合があります。
そのうえで、ご本人や家族の方から相談を受けるというのが一般的です。
◆ 解決内容
1 弁護活動としてまず第一にやるべきことは、「被害弁償」です。
しかし、当然のことながら、被害者の女性(以下、「被害女性」と言います。)の氏名や住所はわかりません。
そのため、加害者本人や家族から「弁護人」として選任していただき、「弁護人選任届」を警察(警察段階で身柄が釈放されている場合)や検察庁(送検段階)や裁判所(勾留段階)に提出し、「弁護人」となったうえで、警察官や検察官と連絡を取り、被害弁償の意向を示して、被害女性が被害弁償を受けるかどうか、その意向を聞いてもらうことになります。
その際、必ず、「被害女性の連絡先等は、被疑者には絶対知らせず、弁護士限り」ということを約束をします。
被害女性は、被害弁償を受け入れる意向はあるものの、当然のことですが、自分の名前や住所が被疑者に知れるということは嫌がります。
そのため、「被害女性の連絡先等は、被疑者には絶対知らせず、弁護士限り」と約束することを、事前に、警察官や検察官から被害女性に伝えて頂くことが必要です。
2 被害女性や親権者の方(被害女性が未成年の場合)と連絡が取れた場合は、被害女性等の希望を前提として、電話だけでお話し合いを進めていくか、一度お会いしてお話しを進めるかなど選択し、被害弁償の額が決まれば、「示談書」を取り交わすことになります。
3 示談金の相場は、私の経験では、30万円から50万円程度です。
但し、被害女性が未成年者であり、父親などが交渉の窓口となる場合には、父親の怒りが激しく、本人の承諾のもと100万円を支払わざるを得なかったこともあります。
4 「被害弁償」がなされれば、私の経験では、不起訴処分となる場合が多く、前科にはならない場合が多いです。
但し、悪質な場合は、「略式罰金(正式裁判を受けることなく、検察庁の主導による手続により罰金を支払って終了する。)」ということもあります。
◆ 弁護士のコメント
私が見る限り、痴漢や盗撮は依存症の方が多く、1回だけでは終わらず、再び事件を起こし、「弁護人になってほしい」との依頼がくることがあります。
1回処罰を受けてもやめることができなかった方の中には、自分がやってしまったことは悪い事であり、事実が公になれば社会的地位や名誉を失うとわかっていながら、どうしても衝動を抑えられなかったと告白される方もいます。
このような場合、薬物中毒と同じように、性的な依存症を治療しないかぎり、また同じ事を繰り返す可能性があります。
そのため、今後のことを考え、本人やご家族と相談の上、精神科の治療をお勧めしています。
痴漢や盗撮については、最初は、示談が成立すれば釈放されたり、略式罰金で済みます。
しかし、何度も繰り返していれば、当然、正式な裁判となり、世間にも知れ渡り、社会的地位や名誉も台無しになることもあります。
弁護人としては、もちろん、処分が軽くなるための活動を全力で行いますが、同時に、二度と同種犯罪を起こさないように、家族も力を合わせ、専門医に治療を受けることを勧めています。