風営法違反事件 1

◆ 事案の概要

依頼者は、店舗を開設して風俗営業を営むため、県の公安委員会に許可の申請をしました。

しかし、未だ許可がおりていないにも関わらず、営業を開始してしまいました。

そして、「風営法違反」の罪で逮捕・勾留されたので、弁護人選任の依頼を受けました。

 

◆ 解決内容

法律上、風営法第3条1項に定める公安委員会の許可を受けずに、風俗営業を営んだ者は、「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」に処せられるとされています(懲役と罰金の両方が併科されることもあります)。

正直、このような事件では、弁護活動の余地はあまり大きくありません。

このような事件では、勾留されている間、

・ 依頼者(被疑者)と定期的に接見して、依頼者の様子や希望を家族に伝える

・ 接見禁止になってしまったけれど、家族が依頼者にどうしても会いたいという場合などに、日時を指定して「接見禁止の解除」を求める申請をして、依頼者が家族と会える機会を設ける

といった弁護活動をします。

また、本件では、警察官や検察官に面談して、依頼者には若齢期の子供がいることや、風俗営業の許可手続について誤解していた部分があったことなどを訴えました。

なお、依頼者にとっては、定期的に弁護人と面会することで、家族の状況がわかり、関係者への連絡や支払い等の処理などを弁護人を介してできることが、極めて心強いということでした。

依頼者は、過去にも一度、風営法違反で罰金50万円になっていました。

本件は2度目ということから、略式裁判により罰金100万円となり、20日間の勾留後、釈放されました。

 

◆ 弁護士のコメント

風営法は、風俗環境の保持や少年の健全な育成のために、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について一定の制限をし、また、年少者の風俗営業所への立ち入りを規制する等して、風俗営業の健全化とその業務の適正化を図ることを目的とする法律です。

一般的に、風営法は、刑法と異なり,行政法に属すると考えられますが、前記目的のため、その違反行為については懲役を含む罰則が科せられることがあり、安易に考えないようにしてください。

例えば、道路交通法は、交通の安全と円滑を図り、交通に起因する障害の防止を目的とする法律ですが、これに違反して酒酔い運転を行えば、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられることがあります。

それと同じように、行政法規に違反しても、刑罰が科されうるのだということを覚えておいてください。

風俗営業等を行いたい場合、事前に、警察に十分に問い合わせる等して、手続や許可条件を確認した上で営業を始めないと、思わぬ失敗をすることになります。