自動車運転過失傷害事件・交通事故(加害者側)

◆ 事案の概要

依頼人であるAさん(女性)は、自動車を運転し、信号機のない交差点を右折しましたが、子供を駅まで送るために急いでいたこともあって、安全確認が疎かになり、横断歩道上を歩行していた高齢者の男性に自車を衝突させてしまいました。

その結果、被害者の男性が、運動機能障害を伴う脳挫傷等の傷害を負ったという交通事故の事案です。

 

◆ 解決内容

当職は、裁判になった段階で、Aさん(被告人)の弁護人となりました。

この件では、次のような点を「被告人に有利な情状」として主張する弁護方針をとりました。

① 被告人には30年以上の運転歴があり、常時運転してはいるものの、本件事故以前は無事故・無違反でゴールド免許を所持している者であること。

② 被告人は、本件事故以前に、禁錮以上の刑に処せられたことがない者であること。

③ 被告人は、無制限の任意保険に加入しており、近日中に被害者と示談が成立する見込みであること。

④ 被告人が十分反省していること(具体的に反省している事実を主張します。)

⑤ 被告人の夫もゴールド免許の所持者であり、今後、被告人の安全運転を継続的に指導・監督していくと、法廷で証言していること。

その結果、検察官から禁錮1年6月の求刑がされましたが、裁判所の判断は、禁錮1年6月・執行猶予3年と執行猶予付の判決となりました。

 

◆ 弁護士のコメント

交通事故裁判において、被告人に最も有利に働く情状は、「被害者との間において、示談が成立している」ということです。

しかし、被害者の治療が長引いて症状が固定していない場合、裁判までに示談を成立させられないこともあります。

そのような場合、被告人が任意保険に加入しているのであれば、必ずその任意保険の「契約証書」を裁判所に提出します。

また、保険会社と密に連絡をとって、示談の見込みなどを十分に聴取した上、その結果をまとめた「報告書」も裁判所に提出し、近々、示談が成立する見込みであるということを明らかにすることが必要不可欠です。