未払い残業代請求事件
- 2014年12月12日
- 事業・労働問題の事例
◆ 事件内容
依頼人は,4年間,不動産販売会社に勤務していましたが,最近,会社を辞めることになりました。
しかし,この間,営業担当従業員として,普段は午後8時頃まで,遅い時は午後11時頃まで働いていましたが,一切,残業代を支払ってもらっていませんでした。
会社を辞めた現在,未払の残業代をなんとか支払ってほしいという依頼でした。
◆ 解決内容
残業代を請求するためには,何時から何時まで働いていたかを証明するために,「タイムカード」などの入手が必要となります。
あらかじめ,「タイムカード」をコピーするなどして持っている方はいないため,会社に保存されている「タイムカード」を検証する必要があります。
本件事件の場合,裁判所に対し,「証拠保全の申立」を行い,裁判官とともに会社に出向き,その場で依頼人のタイムカードを提出させ,これを写真撮影するなどして,「証拠」として保全しました。
証拠保全により,「タイムカード」から依頼人の労働時間がわかれば,所定労働時間を差し引いた時間外の労働時間を割り出し,これに基本給に時間外の割増率をかけて,未払賃金額を算出します。
本件では,手続的に早期に解決ができる「労働審判の申立」の手続を行いました。
請求額は約500万円でしたが,第1回の審判期日の前に,会社側の代理人弁護士から和解の申出があり,全額を支払ってもらうことにより,解決しました。
◆ 弁護士のコメント
未だに,多くの会社において,正規の残業代が支払われず,また,「タイムカード」を押した後に,「サービス残業」と称して残業させるということも行われています。
明らかに労働基準法に違反する行為です。
未払残業代の請求については,実際に長時間働いていたことを証明する何らかの証拠が必要となります。
「タイムカード」などがあれば,これを確保することが一番です。
しかし,その他にも,パソコンの使用記録などから時間外労働を証明したりすることも可能です。
時間外労働が立証できれば,ほぼ全額に近い未払残業代金を回収することが可能です。